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輸入野菜は生鮮品?加工品?

  • 藤島 廣二
  • 2015年6月3日
  • 読了時間: 2分

 野菜は生鮮のまま輸入されているのであろうか。それとも、加工されてから輸入されているのであろうか。

 新聞やテレビのニュースを見ると、野菜の輸入に関しては「キャベツが高騰したので、○○スーパーは緊急輸入を開始した」といった類いのものがほとんどであるが、これらは生鮮野菜の輸入を報じたものである。そのため、「輸入野菜は生鮮品」あるいは「野菜輸入の中心は生鮮品」と思い込んでいる人が多い。

 しかし、実は輸入野菜で多いのは加工品である。冷凍品、塩蔵品等のすべての加工野菜を原料段階の生鮮数量に換算して生鮮野菜と比べると、図に示したように、加工野菜の輸入量は毎年、生鮮野菜の3~5倍、300万㌧以上にのぼる。

 国産野菜との比較でも、生鮮品の輸入量は確かに100万㌧を超える年があるものの、それでも国産品出荷量の10分の1以下にすぎない。これに対し、輸入加工品の中心である冷凍野菜の輸入量は製品数量で80万~90万㌧(生鮮数量に換算すると約120万~140万㌧)であるが、これは国内冷凍野菜生産量の8~9倍に達する。

 なぜ、加工品と生鮮品で、こうも違うのであろうか。いろいろな理由が考えられるが、最大の理由は鮮度・品質の重要度の違いであろう。

 生鮮品の場合、鮮度や品質の違いは我々のような素人であっても比較的見分けやすいし、その違いがそのまま味覚の差となって現れることが多い。それゆえ、価格が幾分か安くても、鮮度の良い物、品質の良い物を選ぶことになる。鮮度の点で輸入品が国産品を上回ることは通常ではあり得ないし、品質も特殊な品目であればともかく、ほとんどの品目で国産品が優っている。

 これに対し、加工品の場合、素材の鮮度は重視されるとしても、加工後の製品の多くは鮮度が1日や2日で目に見えて変わるものではないため、一般的には遠隔地からの輸送が著しく不利になるわけではない。また、加工品の味(あじ)等の品質は素材の影響も受けるものの、それ以上に加工業者の技術によるところが大きい。しかも、この種の技術は海外に移転できるものが多いし、それが困難であれば半製品として輸入した後に国内でそうした技術を施すことができる。こうしたことの結果、加工品は価格が安い輸入品が有利になっているのである。

 かくして、野菜輸入の増加を防ぎ、自給率を維持しようとするならば、生鮮野菜についてはこれまでの生産方法を否定する必要はなく、それよりも現在の国内生産力の維持こそが重視されよう。しかし、加工野菜については、価格競争に耐えうるような生産・流通面での改善が必要と考えられよう。

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