災害勃発時の「初動態勢」のあり方 − 卸売市場と自衛隊の活用 −
2011年3月の東日本大震災の時、被災地において避難者への救援物資の到達が遅れただけでなく、東京等の周辺地域においても「物不足」「買い占め」などの大きな混乱が発生した。国(政府)は「物は十分にある」と口では言ったものの、その「十分」を人々に具体的なかたちで早期に示すことがで...


社会の高齢化と食の減少
我々日本人は、大まかに言えば、1日当たり1㎏以上(加工品を生鮮原料に換算して1日の需要量を計算すると1.5㎏を超える)の物を食べ、2㍑以上の水を飲む。もちろん、この量は年齢に応じて異なる。それゆえ、社会の高齢化に応じて総消費量も異なる。そこで以下では、日本社会の高齢化につれ...
卸売市場の社会的役割
前々回のコラム(7回目のコラム)において、農産物(生鮮青果物、花き)が生産者または農協から消費者の自宅に届くまでのトータル・コストを考えると、生産者と消費者が直接取引する生産者直売所(ファーマーズ・マーケット)のような流通システムよりも、卸売市場を通って小売店で販売する流通...


日本農業は強いか?弱いか? ~生産規模の拡大は必須か?~
「日本の農業は強いか?、弱いか?」と問うと、ほとんどの人は「弱い。だから自給率が低下している」と答えるだろう。政府や経済学者(農業経済学者)の多くも「外国農業に対抗し、自給率を維持するためには生産規模の拡大が必要だ」と言うが、これも「現在の日本農業は弱い」ということにほかな...
優れた流通システムは直売所?卸売市場・小売店? ~「見えない」・「見えづらい」流通コスト~
前回、商品購入後の流通コスト(消費者が商品の価格以外に支払わなければならないコスト)は「見えない」あるいは「見えづらい」ものであるため、流通に関する大きな誤解が生じていると指摘したが、今回はその誤解を生鮮野菜の「生産者直売所販売(生産者と消費者の直接取引)」と「卸売市場経由...
見えるものと見えないもの ~価格と流通コスト~
前回のコラムで話したように、流通(商品取引)の世界でも見えるものと見えないもの、あるいは見やすいものと見づらいものがある。前者の容易に見えるものの代表は価格である。ただ、価格とはいっても、生産者価格・出荷者価格もあれば、卸売価格もあるし、小売価格もある。また、同じ生産者・出...


見えるものと見えないもの ~マッハ100のスピード~
我々人間には見えるものと見えないもの、言い方を変えると容易に認識できるものと認識しがたいものがある。その最たるものは我々が日々意識するスピードである。仕事が早いとか遅いとかいう場合のスピードもあるが、そうではなく、歩いたり車等で移動したりする際のスピードである。...


輸入野菜は生鮮品?加工品?
野菜は生鮮のまま輸入されているのであろうか。それとも、加工されてから輸入されているのであろうか。 新聞やテレビのニュースを見ると、野菜の輸入に関しては「キャベツが高騰したので、○○スーパーは緊急輸入を開始した」といった類いのものがほとんどであるが、これらは生鮮野菜の輸入を報...


自給率が向上したきのこ -食料の安全保障に関連して-
ここのところ、農産物・食料品の輸入あるいは食料の安全保障に関する議論がかまびすしい。ある人は「自給率が低下するからTPPやFTAなどの輸入自由化には反対だ」と言い、またある人は「生産規模を拡大すれば大丈夫だ」と言う。が、いずれも、日本の農業は現在のところ外国よりも弱く、それ...
輸送コストの不思議
輸送コストは距離が長ければ長いほど高い、と考える人が多い。と言うよりも、そう考えるのが普通であろう。が、これは正しいとも言えるが、正しくないとも言える。 同じ5㌧トラックを使って、同じ量の荷物を50㎞離れたところに運ぶ場合と、500㎞離れたところに運ぶ場合を比較すると、間違...